スクーターのクラッチは遠心力によってクラッチを繋げる構造になります。
その遠心力を制御している部品がクラッチスプリングです。また初心者の場合はクラッチスプリングとセンタースプリングの用途や名称を間違えている人も多く、駆動系のセッティングが決まらない人もいると思います。
この機会にクラッチをばらしてみましょう。
クラッチの外し方が分からない方はコチラを参照して下さい。
自動遠心クラッチ簡単な構造です
自動遠心… という言葉を使うスクーターのクラッチですが、単純にばね力で遠心力を調整しているだけの構造です。ですのでそのバネ(クラッチスプリング)を交換するだけでクラッチの繋がるタイミングを自在に変える事が可能です。
これが今回分解するKOSOのクラッチユニットです、スクーターカスタムの世界では定番のカスタムパーツメーカーで、台湾の会社です。
クラッチをばらす場合は軍手をしないと手が真っ黒に汚れます。
Eリングを外す
始めにEリングを外しましょう。
私はラジオペンチで引き抜きをしていますが、どんな方法でも抜ければ大丈夫です。
Eリングとはローマ字のEの形に似ている止め輪の事です。
クラッチスプリングが交換できるようになる
Eリングを外せば留め金が抜けます。このような状態にすれば、クラッチスプリングは簡単に交換できます。
クラッチスプリングの外し方は引っ張りながら抜くなのですが、専用工具は必要ありません。
上記画像の白いバネがクラッチスプリングです。
ドライバーでほじっても良いし、ラジオペンチで掴んでも大丈夫です。ただクラッチスプリングのばね力があるので、それなりに力のいる作業です。
エンジンパワーに合わせてクラッチスプリングを変えます
基本的にはエンジンパワーに合わせてクラッチスプリングの変更が良いとは思いますが、例えば低回転でクラッチを繋げたい場合はクラッチスプリングを弱いものに変更します。
高回転で繋げる場合は強いクラッチスプリングです。
しかし、弱い、強いクラッチスプリングといっても目安が分かりません。強化クラッチスプリングと名の付くカスタムパーツは強くする=高回転ミートを意味するものです。
しかし高回転でミートするという事は、低速域でのエンジン回転数の伸びしろやパワーを遠心力で使ってしまう事になります。
エンジンパワーが上がってる車両ならば、例えば「直ぐクラッチが繋がっちゃう」を変更するのに有効なチューニングになります。
具体的にはアイドリング時1800rpmでクラッチミートが2500rpmなどの場合に、そこからの加速をどのように感じるかがポイントになります。
ここでもっと下で繋げてもパワー出るなと感じれば、クラッチスプリングは弱いものに交換したほうが良いと思います。
クラッチスプリングを強化すれば加速が良くなる訳ではない
クラッチスプリングはセッティングパーツです。
強くした事によりクラッチミートタイミングが高回転になりクラッチ滑ってしまう、低回転域が有効活用できてないかも… こうなるとパワーロスしているだけになります。
例えばスタートダッシュを良くしたいと考えるのであれば、クラッチスプリングは弱いものに変え、ウェイトローラーを軽くし、プーリーボス延長によるローギヤー可のほうが体感できる効果になります。
ただ上記のようなセッティングをやりすぎると発進時にフロントタイヤが上がってしまう(ウィリー)状態になる可能性もあるので、乗りにくいスクーターが出来上がってしまうかもしれません。
弱いクラッチスプリングを購入したい場合は、125ccのスクーターなら90cc、50cc用のクラッチスプリングを購入して試すといった方法が良いと思います。
ウェイトローラー交換はこちら
プーリーボス延長はこちら
クラッチの洗浄
クラッチをばらすので、ついでに洗浄しましょう。クラッチにはシューの削りカスなどが溜まっており、これをきれいにするだけで駆動系の状態は良好になります。
クラッチスプリングを抜いた状態であればクラッチシューは抜くだけでとれます。パーツクリーナーとブラシで洗浄し、元に戻します。
私はピンに少しだけグリスを塗って組み上げますが、これはやらなくても良いです。上手にグリスを塗らないと、回転によりグリスが飛び、結果クラッチ滑りが発生する可能性があります。
シューの確認
シューの減りや削れを確認しましょう。片減りしてるようであればクラッチ本体を新品に換えたほうが良いかもしれません。
これぐらい残っていれば全く問題なしです。
私からすれば新品同様ですから、まだまだ使えます。
シグナスX系の駆動系は他型式やBW’sに流用できるものが多いのが嬉しいですね。バイク買い替えでも駆動系パーツが活きます。
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